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(更新中)中国経済分析:政府部門、企業部門、家計部門


※本章内容は今後充実させていきたいと思いますので、内容更新にご留意下さい。

初稿作成日: 2019814

更新日:    

2019年8月19日(書き換え:前書; 追加:中国経済・概要、企業部門(金融))

2019年8月20日(添削:中国経済・概要;追加:企業部門:非金融法人

2019年8月21日(追加:家計部門


<前書>


中国経済は誰でも多かれ少なかれ知っています。

何故この内容を独立させて詳しく紹介するかというと、

過去20年間の世界経済、そして今後中国経済動向が関連国にもたらすの影響があまりにも大きいため、中国経済運行の主なラジカルを把握しないと、今まで、そして今後はどのように関連国に影響するか理解できないからです。


ただ、中国経済は決して簡単に述べることはできません。本章はあくまでも一角度から分析してみたいと考えておりますし、言及しない内容は今後補足していきたいと思います。


<中国経済・概要>


「我々が歴史から学ぶことは、人間は決して歴史から学ばないということだ」という名言があります。中国人は後発開発途上国として、先進国が纏めていた経済法則を無視、この名言の実践者の一員となりました。


中国人現在世界中爆買い光景は、前世紀80年代日本人の世界中爆買い光景を思い出させてくれます。背景は似ています:与信ブームに伴う収入バブル、その裏は山積みの債務。

日本資産バブル崩壊後、大多数の民間企業も家計部門もバランスシート悪化の修復に動く、この現象をリチャード・クー(辜朝明)が「バランスシート不況」と呼び、バブル崩壊後日本国内経済数十年間低迷の真相の一つと思われています。


それでは中国の経済発展及び持続不可主因を簡単に見てみましょう。

※今後は更に内容を充実させます。


中国は経済高度発展遂げたのはWTO加盟してからです。ちなみにただ20年間です。


・中国経済の表は高度発展、裏は貨幣供給と信用融資が共に大拡張による(悪性)インフレ型債務経済モデルです


・経済要素資源のほとんどが低効率運行部門に占有されている、略奪型経済です。


・外需依存度高い:福祉保障制度が全く整備されていず、かつ過大評価通貨(人民元)&資産価格の二重主因により、過大な生産能力に比べ内需は非常に弱く、外需に頼らなければならないです。2008年以降外需が顕著減少後、過激な国内投資で需給の穴を補填してきました。


・内需不足:現行福祉保障(年金を含む)制度があくまでも人口増加・家計部門負担増加に基づいているため、人口構造の顕著な悪化(高齢化・少子化社会)が今後福祉保障制度実施可能性、そして社会安定に巨大な影響を与えると思われます。内需不足かつ本気で解決しようとしないため、過激な国内投資で需給の穴を補填するしかないです。


・高コスト低効率のにも関わらず、経済資源のほとんどを独占している政府、国有企業(金融・比金融)が社会全体運営コストを増加させ、中国の総合競争力を低下させていっています。


などが挙げられます。


<改革開放~2001WTO加盟の間の主な出来事>


中国は経済高度発展遂げたのはWTO加盟してからです。1979年改革開放開始してからWTO加盟まで長い20年間は、自力では経済発展を遂げることはできませんでした。

この意味では、アジアどの国も同じです。日本が比較幸いなことに、経済高度発展期は外需に依存しながらも内需拡大の土台である社会福祉保障制度も構築し、かつ金融経済ではなく実体経済に依存し製造業が強く(海外進出企業は依然に本部を国内に置き、開発・販売などスマイル・カーブ両端の労働機会を国内に置きながら、海外で稼いでいます)、中国に比較して経済構造は持続性が高いです。


それではまずWTO加盟までの主な出来事から感じてみましょう。


1979年:中国 鄧小平氏の改革開放政策の開始

1984年 中国 広東省、福建省の4地域を経済特区に指定

1988年 中国 憲法改正(私営経済の存在と発展を容認)

1989年: 中国・天安門事件、国際制裁を受け

1992年:中国・鄧小平の南巡講話

1994年:中国人民元の交換レートを統一、管理変動相場制

1994年:分税制(財政改革)

1996年:中国 第95カ年計画(目標2000年、計画経済から社会主義市場経済への転換を目指す)

1997年:香港返還

1998年:朱鎔基が国務院総理に就任後、国有企業改革・金融改革・政府機構改革に踏み切り

1998年:不動産改革:全面市場化

2001年:中国WTO加盟


WTO加盟後中国経済発展2段階


段階12001年~2007

外需、特に米国の需要バブル(※詳細は前章の「米中循環」をご参照)に牽引された国内インフラ・不動産建設、生産規模は前代未聞。

過剰な供給力に対応する需要が一旦継続できなくなると、上記循環は完全に終わり、需給再均衡に直面しなければならないです。これは2007年に起こったことです。


段階22008年~現在

リーマンショック後、中国は需給再均衡・構造改革の道に歩むのではなく、急減した外需の穴を補填できるよう、従来の輸出型+投資主導型経済から、投資主導型経済へ変わり、空前の経済刺激策を打出し、既に過剰な供給力に、更に空前の過剰を加えました。

下記は中国国内3つの経済主体(政府部門、企業(非金融・金融)部門、家計部門)別変遷の角度から、経済発展を振り返りましょう。


<政府>重要生産要素を支配・独占


市場と政府の役割分担


アダム・スミスは、人々が私利私欲を追求して消費や生産活動を行うことが、国全体にとって望ましいと主張し、政府による規制が市場を窒息させると指摘しました。


しかし市場は万能ではありません。政府が果たすべきな役割があります。


それは、市場に資源の配分をまかせ(企業が自由に市場に参入、競争することを許すことです)、政府が監督役を果たし、所得分配・再分配を行うための税制や生活保障制度、経済が円滑に循環できるよう、公平な場を作り出す役割です。


分税制が中国政府による経済活動への介入・干渉の重大な転換点


計画経済から社会主義市場経済への転換に伴い、改革開放初期段階では、中国政府が市場への介入を減らしていましたが、1994年から中央政府と地方政府の財政制度改革「分税制」の実施を機に、地方政府財政独立及び各政府間の”GDP競技”の展開に伴い、地方政府の行為には顕著な変化が生じました。


1、分税制実施目的


国家統治能力、中央政府の財政能力、マクロ経済調整能力、及び行政管理能力を強化するのが目的です。


2、分税制実施がもたらす影響


1)地方政府が自給できなくなした。


中央財政がこれで税収確保したものの、地方政府に行政責任だけが移り税収が極端に不足という構造的な問題を招きました。結果として、地方政府が負担する歳出比率が大きすぎ、財政自給率が大幅に低下しました(例、経済が最も発展、税収源が最も潤沢な浙江省が93年の財政自給率が130%強、新規分配制になってからは半減以下の約60%になりました)。

2)収支赤字を埋めるには、地方政府が土地売却、地方債及び融資プラットホームという財政構造に依存。


税収困窮に陥った地方政府に残される選択肢は二つです。中央政府からの移転支出を求める、予算外収入を生み出す、のいずれかです。


予算外収入は、中央政府が徴収管理を一層標準化してきたため、地方政府は財政確保のために土地売却(予算外収入源)という財政構造に依存し始めました(リーマンショック後は地方債及び融資プラットホーム乱発手段を加えました)。


中国政府による経済活動への介入・干渉及びその影響


地方税収総額、産出価値が地方政府官僚の業績評価主要基準です。


業績評価基準に満たし、かつ財政赤字を埋めるには、地方政府は経済活動に介入・干渉します。具体的には下記の行動を取っています。


1、土地価格を押し上げに全力を尽くしながら、国有企業に大量の資源を傾きます。

地方政府が土地国有名目で農民から農用地基準価格で土地獲得します。工業化・都市化過程で土地用途を農用地から工業建設用地に変更するだけで、数十倍、数百倍の売却益が獲得できます。


しかし、地方政府は土地を100%売却できないです。何故なら、業績評価基準に満たすという目標も同時に達成しなければならないからです。


資本密集型、エネルギー消耗激しい大型企業(国有企業がほとんど)は産出価値と税収への貢献がともに高いです。地方政府官僚は国有企業をを自分の管轄地域に引き付けためには、大量の資源(土地、税収、財政補助などの優遇策)を国有企業に傾きます。工業用地をコスト以下、時には無料で企業に譲渡しなければならないです(これらのいずれとも銀行にとって最も信頼性高い担保品及び政治担保であることを心に留めて欲しいです)。


工業用地は土地全体の85%を占めるため、地方政府は残りの15%の住宅用地から収益を生み出さなければならないです。従い、地方政府は全力を尽くして住宅用地価格を押し上げています。不動産価格取締りへのモチベーションは当然ながら、ないです。


2、資源価格の歪曲が世界への影響


中国では、各地方政府が経済活動に必要要素と資源をほぼ全てを独占しているため、理論上彼らは外部資金を引き付けたいと切望するなら、生産要素と資源の価格を世界最低レベルまで押し下げるのは簡単です。従い、世界はこのような不思議な光景を目にしました:一人当たり資源保有量が世界平均を遙かに下回る国は、資源価格が超安、更に超低い環境基準、超安い土地価格(時には無料で贈与)、超優遇税収、超低い労働基準。総合製造コストがこれほどやすい国はどこにもないため、外部投資資金が駆け込むのは言うまでもないです。


従い、2001年にWTOに加盟して以来、世界最安の製造総合コストで誇る巨大な経済実体世界に参入すると、世界中規模空前の資本、生産要素、産業チェーン移動を引き起こすのは言うまでもないことです。


欧米日先進国(特に米国)からの外需に駆動された、ゆがめられた価格体系の下、中国企業及び中国に生産拠点を置く企業の生産能力拡大は、極限に到達までには止まらなかったです。この規模の製造業拡張例は、それまでの人類の歴史にはなかったです。これは中国が経済高度成長を遂げた要因です。


<企業部門:金融> 固有問題:モラル・ハザード


直接金融と間接金融


内容に入る前にはまず直接金融と間接金融の意味を理解しましょう。

直接金融:資金を必要とする借り手は、社債・株式・公債を発行して、必要な資金を証券市場を通じ直接貸し手から調達することです。

間接金融:借り手が必要な資金を、銀行などの金融機関からの借り入れで調達することです。


中国では、間接金融が中心です。近年、直接金融規模も大きくなってきていますが、しかし、債券、信託、理財産品(高利回りの資産運用商品)のいずれとも債務不履行が極めて稀です。リスクが転嫁できない限り、これらの金融商品提供元である金融機関は、シャドーバンク、もしくは銀行の影に過ぎないです。


中国銀行の収益仕組み


中国銀行の主要収入源は、資金利益(Net Interest Income)です。


中国当局設定の預金、貸付金利、及び銀行収益体制により、銀行が無リスクでこの収益を手にしています(今でも続いています)。


この仕組みとは、預金金利上限を低く抑え、貸付金利下限がそれより上との設定です。


銀行の主な融資対象は国有企業・地方政府主導直接・間接部門です。


国有企業・地方政府主導プロジェクト、ちなみに銀行の資産のほとんどは低効率もしくは負のキャッシュフローですが、政府支援・支持部門のため、銀行にとって破綻の心配はないです(近年は破綻の個別例が出ていますが、稀です)


例:銀行貸付主な対象の一つ中国国家の鉄道、高速鉄道建設を担う元「鉄道局」、現在の「鉄道公司」

負債総額:20193月付け)5兆元

鉄道路線長:(2018年末付け)13.2km。うち高速鉄道路線長:3km (2008年の44.5倍、約23の世界割合を占め)

高速鉄道収益状況:北京⇔上海間路線が運行中高速鉄道路線の中唯一の正のキャッシュフローを生む路線


銀行不良債権処理:当局が買い取り


2008年までには下記の大型救助:


1990年代~2000年代初頭、中国の商業銀行はぢ空き簿な不良債権を処理しました。主な処理方法は、財政部が4つの国有資産管理会社(AMC)を設立し、人民銀行から再融資+特別国債発行で調達した資金を注入した後、4つの国有商業銀行から簿価で不良資産を買い取りました。


2004年と2005年には中国銀行、建設銀行、工商銀行向けに財務救助を実施しました。


2008年に同じ方法で農業銀行から不良債権を買い取りしました。


この通り、中国で銀行運営はほぼ無リスクです。この故、2013年某EMBAサミットで、ある国務院官僚は、犬でも銀行運営できる、と激しく批判しました。


銀行の融資条件(国有・政府系企業、大型民営企業以外の企業は、銀行から融資調達は非常に難しい)


中国の銀行の貸付の90%が担保付き貸出で、基本的にはまだ質屋時代の状態のままです。銀行にとって、土地などの固定資産は最も信頼性のある担保品です。


更に、法的環境及び信用規則の深刻な欠如、及び当局が銀行に対する厳格資本監督約束により、中小企業が銀行からの資金調達は実質に難しいし、改善の余地もないです。


また、他の国有銀行からの競争圧力を受け、融資を提供すると地方政府から多くの優遇政策を受けられる、更に政府系企業、政府支援の国有企業向け融資の場合、借り手破綻の心配がない、といった理由から、銀行は最終的に地方政府、地方政府支援の企業に協力しなければならないです。


言い買えば、経済要素を統制している地方政府が、実際に銀行の信用貸出権も握っています。


<企業部門:非金融法人>


2007年までの経済高速発展段階:企業全般が高い収益率を得ていました


2007年までに、強い外需+国内インフラ建設に駆動され、中国国内企業は多かれ少なかれ高度経済発展及び中国国内生産要素の低さから恩恵を受け、高い収益を獲得していました。高い収益の要因の中、超安い労働コスト、超安い要素価格が決定的な要因と思われます。


超安い労働コスト

労働力供給がほぼ無限大の中国では、労働生産性が労働コストを遙かに上回る状況は「ルイスの転換点※」になるまでには変わらないです。

※ルイスの転換点:農業の余剰労働者は、高い賃金を求めて工業へ移り、ある地点まで行くと農業部門余剰労働力がなくなった段階のこと。


超安い要素価格

前述の通り、政府が経済活動に必要要素と資源をほぼ独占しているため、理論上彼らがもし外部資金を引き付きたいと切望するなら、あらゆる要素価格を世界最低レベルまで歪曲させる(超安いエネルギー、資源化価格、超低い環境基準、超安い土地価格、超優遇体制、超低い労働基準)ことは簡単です。


ミクロ面では、歪曲した、超安い要素価格に超安い労働コストを加え、どの業務も直ちに息をのむような高い収益を出せますが、マクロ経済全体にとっては非常に不経済です。


政府官僚が権力を生かし、利益得る程度に合わせて、開放改革初期段階に流行していた二重価格・多重価格制手段を使い、支援対象企業、もしくは受益高い企業向けに生産要素を譲渡しました。


企業収益急騰の裏には、マクロ経済発展や企業経営改善などの要因もありますが、政府からの驚くべきな優遇が「過剰収益」を生み出す最も基本的な要因です。大量な富がごく一部の人に略奪されていたことも、内需低迷の要因にも繋がりました。


中国の国有企業


非金融法人の中で一般的に酷評を受けているのは、国有独占企業です。主に酷評を受けている点:


1、国有資本、資源を事実上無償使用が過剰収益を生み出す要因のにも関わらず、国家・政府向け資本報酬支払う必要なし。


ある学者が不完全統計に基づき国営企業の運営コストを下記の通り計算しました(データ出所:中国社会科学院)


1)投資資本を独占


・国有投資資本の6割以上を占め:前世紀末以来、中国政府は1兆元超の国債を発行しました。14の投資率に基づき、5兆元の投資総額のうち、34兆元(6割以上)が国有企業に流入しました。


・海外から調達した資本のほとんどは国有企業に:海外から調達資本総額8000億元のうちの60007000億元


2)利息軽減策


・非金融類国有企業(社債から)株式交換規模4050億元、不良債権抹消規模3020億元 ⇒ 合わせて毎年約500億元の利息支出が軽減。


・合計7回の利下げで国有企業利息支出軽減額が約2500億元。


3)その他の優遇

・石油価格連年上昇に伴い、国有三大石油会社が1000億元増益

・自然資源の無料使用:三大電信会社、三大石油会社が国家の自然資源を無料で使用

・その他地方政府からの優遇策


一連の優遇に基づき、国有企業の利益率が息をのむほど高いのは言うまでもないことです(国有企業の利益推移グラフを作成後公表します)


2、国有企業進出業界で市場を事実上独占。


3、経済への貢献度低い:社会資源を独占しているのにも関わらず、30%未満の就労機会しか提供していないです。


4、運営自体が低効率そのもので、社会運営コストを増やしています。


<ここまで一旦要約>


爆利の地方政府、国有銀行、国有企業、及び後述の不動産の掠奪で、国民の富の分配における一般国民が占める割合減少していくだけではなく、既存の富も掠奪されています。これが内需(※後述)低迷の要因でもあります。



<家計部門>


経済活動で作り出した富は、政府、企業、家計部門間で分配されます。


政府及び企業に余剰資金があればあるほど投資に回し最終的に供給増に繋がります。


家計部門が最終消費者です。消費需要には外需と内需に分かれます。どの国も外需にばかり依存するわけにはいかないです。一旦外需が崩れれば、需給再均衡を余儀なくされます。企業大量倒産、失業増加、需要減衰、企業収益悪化に伴って更に人員や賃金削減、という連鎖的な悪循環に陥ります。


しかし中国は長い間、生産した商品が国内で消化できため、海外へ輸出販売するしかないです。そのため国内で企業向けに生産の際も海外へ輸出販売の際も補助金を支給しています。これが正に現在米中貿易摩擦の要因の一つとなっています。


何故内需が低迷か、根本的な原因は、多くの国民は消費に回せるお金がないからです。主な原因は:


1、所得分配


2007年まで中国の工業化は重化工業、資本密集型志向です。その故、所得分配は必然的に政府と資本に傾き、労働報酬と国民貯蓄が占める比率が収縮方向です。


19972007年の間、中国労働者報酬がGDPに占める割合が53.4%39.7%に減少;資本収入割合が続伸し企業営業収益がGDPに占める割合が21.2%31.3%に上昇;政府予算内財政収入がGDPに占める割合が11%⇒20.6%に上昇、もし予算外収入である土地売却収入、中央・地方国有企業の利益分配を計算に加えればその比率が30%になります。


中国の貯蓄率構造もこれを反映しています。


19992007年の間、中国の総貯蓄率が14.4%急増しました。増加内訳はこれです:家計部門が2.7%を貢献(1999年の20.2%⇒2007年の22.9%に)、政府が5.4%を貢献(1999年の2.7%⇒2007年の8.7%に)、企業が6.3%を貢献(1999年の13.7%⇒2007年の20%に)。政府と企業部門の貯蓄率が続伸する一方、家計部門の貯蓄が全体に占める割合が減少しました。


政府と企業が経済活動からの取り分がますます大きくなっていますが、それを投資に回すほかないです。これが更なる供給力に繋がります(高い貯蓄⇒高い投資⇒更なる供給力)。この巨大な供給力は国内の購買力で消化できないため、海外へ売り出すしかないです。ある日が外需が本当に崩れると、この循環も完全に破滅してしまいます。


2、所得再分配


所得再分配とは、所得を公平に配分するため、租税制度や社会保障制度、公共事業などを通じて一経済主体から別の経済主体へ所得を移転させることです。

中国では真の意味での社会保障体制、医療保険、失業保険がないため、国民が消費意欲を抑えています。これが消費低迷要因の一つです。


3、不動産投資による押し出し効果(crowding-out effect


長い間、不動産価格伸びが国民労働収入を遙かに上回っています。国民が貯蓄を不動産(投資的・投機的な)購入に使うことが消費に抑制的な影響を与えます。これは「押し出し効果(crowding-out effect)」と呼ばれます。


4、速すぎた投資伸び


実際、経済高度成長期に中国の消費需要も着実に伸びています。しかしながらこの平穏な伸びに比べ、投資が猛スピードで伸びています。ちなみに、消費率低迷の最も重要な要因は、消費伸びが投資拡張を遙かに下回っていることです。


<まとめ>


中国政府のGDP至上業績評価制度の下、政府が投資・GDP拡大に全力尽くし、要素及び報酬分配が家計部門ではなく、政府及び企業に傾くよう諸制度を設計するのは必然で、民生・国民福祉厚生にへ投入モチベーションは当然ないです。


手に入れた収益、貯蓄を抱えている政府及び企業は消費傾向が低いため、限界消費性向がますます減っていき、一方、貯蓄を更なる投資に使い、供給拡大に繋がっています。


家計部門の購買力が耐えずに増えている供給を消化できないため、ますます外需に依存しています。


これは現在の中国が抱える問題(消費不足、供給過剰、国内流動性氾濫、資産バブル、悪性インフレなど)が多い最も大きい要因となっています。


この国内経済構造不均衡は、2007年、2008年外需が突然崩れるまで続いていましたが、主要需要源が崩壊、かつ当分の間回復せず、需給再均衡に直面しました。


しかし中国は構造改革による経済再均衡の道に歩むのではなく、急減した外需の穴を補填できるよう、従来の輸出型+投資主導型経済から、投資主導型経済へ変わり、空前の経済刺激策を打出し、既に過剰な供給力に、更に空前の過剰を作りました。


ただこの経済モデルは現在既に限界に至っています。今後中国経済は果たしてどの方向へ向かっているか現在注目されています。


by sari2019 | 2019-08-15 23:21